価値ある時間

レストランの数だけシェフとオーナーの想いがあり各々の経営法と基準と規範がある。

多くのそれに触れるという面では
短期の研修でキッチンに入るのは最適だ。

仕込みの真っ只中、ふと手を止めてキッチン内を見渡してみたり
営業中にシェフとサービスとのコミュニケーションの取り方に見入ってみたり
ああ、あのスタッフは今何を考えて行動しているんだろう、なんて予測してみたり
そう考えてみる時間が与えられるのは
僕のような短期の研修生に許される特権であって
とても勉強になるもの。

現在研修中のシチリアのリストランテ。

キッチンスタッフはシェフの他に
即戦力になる経験のある日本人クオーコ(コック)2人、
料理学校のインターンシップ制度で研修に来ている2人、
他のリストランテで働いた経験のない10代後半~20代前半の地元の若いクオーコ数名
で構成されているチームで、平均年齢がものすごく若く
他のリストランテと比べて間違いなく人件費が安い。

足りない技術や勤勉さは日本人のクオーコで補う。
全体のチーム力としては弱いのだが
シェフのカリスマ性と威厳がそれを統率し
それでいてミシュランの星を2つ保持するという
これはこれでリストランテとして成功する経営の一つのパターンなのであろう。
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少しだけ観点を変えて、姿勢を変えて、物事を見つめてみると
学ぶことと吸収できることは倍増すると、
僕は自分自身に言い聞かせる様にしている。
今の瞬間をより価値ある時間にするためには大切なことだと思う。


さて、こちらのお店での研修は
2日ほど早めに切り上げさせてもらうことにした。
14日朝にどうしてもスペインのアリカンテ入りしたいのと
その前にリグーリアへ戻りオリーブの収穫のお手伝いとオイル作りの見学をさせてもらうためだ。
運よく格安航空券も購入できた。

明日の朝、シチリア最西端の町トラーパニへ向かい、
明後日昼過ぎの飛行機でジェノバ入りします。

2011年11月8日リカータより
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# by kentaro_torii | 2011-11-08 23:59 | イタリアより

RADICE

旅をして色々なものを見て感じるのはいいことだ。
しかし、どこかに自らの根 ’Radice’ を植えるのも大切だよ。

仕事終わりにシェフと話をする機会があり、
こんな言葉をもらい
その通りだなぁと痛感し、
ずっと心に残っている。


旅を終えても
今の僕には帰る場所はなく
また次の土地と仕事を探さなければならない。

来年で30歳。

次の土地では
しっかりと根を植え
水を与え、光を与え
元気に育てようと思う。

2011年11月5日
リカータより
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# by kentaro_torii | 2011-11-05 23:59 | イタリアより

シチリアより 結婚するあなたへ

コウジ君、リナさん

ご結婚おめでとう御座います。
ご両家、ご親族の皆様におかれましても、この度のご良縁、心よりお祝い申し上げます
このおめでたい式に出席できずに本当に残念なのですが
僕からの祝福のメッセージは、やる時はやってくれる靖くんに託したいと思います。

ご存知のとおり僕はシンガポールでの計4年半に渡る仕事を終え、
9月より世界各地での研鑽・勉強を兼ねた6ヶ月間の旅に出ました。
現在イタリアのシチリアで充実した日々を過ごしておりますが
2日前コウジ君から受け取ったEメール。
文面を通して、
とうとう、あの(あえて昔のままで呼びたいと思いますが)'こうちゃん'が責任ある所帯持ちになるのだな・・
なんていう緊張感は全く感じられませんでしたが(笑)
小学1年生から一緒だったあなたがついに結婚。
心から嬉しく思いますよ。

もう2年前になります。
覚えているかな?
覚えているはずです。
5歳の頃からの付き合いであるあなたと27歳になり真夜中のシンガポールの夜空の下、
2人で向き合って飲み交わしたタイガービアー。
短い時間でしたが、夢や目標を語り合った時間は今でも素晴らしい思い出であり、
そんな瞬間はいつ思い出しても胸が熱くなるものです。
僕はずっと忘れません。

新婚旅行はチェコ、パリということですね。
パリは恋人の街とはよくいったもので、
僕も先月4日間ほど滞在しましたが
独りで歩くシャンゼリゼ、エッフェル塔、夕暮れのセーヌ川。
正直に言ってしまえば、僕は恋人を想い、思いきり切なくなりましたよ。
どうして僕は独りで歩いているのだろうと・・
そんな素敵な街で
お二人の愛を育み
美しい時間をお過ごしください。
そしてヨーロッパの空気に触れ、
あなたのその独特といえる素晴らしい感性が更に磨かれる事と思います。。

リナさん、
ずっとお名前は伺っておりましたが未だに実際にお会いしたことはありませんね。
誠実で朗らかなコウジくんは きっとリナさんを幸せにするだろうと信じています。
また日本で幸せいっぱいのお二人にお目にかかれる日を楽しみにしております。

最後に、
今でも変わらず繋がっている地元・小田原の仲間たち。
皆が一同に集まる機会なんてなかなかありませんね。僕が久々に帰国しても一緒には集まってくれない位ですからね(笑)
この場をお借りしてみんなに感謝の気持ちを伝えたい。
それぞれ進んだ人生は全く異なるのだけれど
日本に、地元に帰ればみんながいる、という思いを胸に僕も頑張っていますよ。
ありがとう。
そんな僕たちも来年で30歳、これからは家族ぐるみで仲良くしましょう。

では、改めまして。
こうちゃん、りなさん、おめでとう!

鳥居健太郎
11月1日
シチリアの強い日差しを浴びながら
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# by kentaro_torii | 2011-11-01 23:59 | イタリアより

美しい日本、その自覚

アグリジェントより車で1時間弱。
ダヴィデとシモーナに付き添われてリカータへ。
二つ星リストランテLa Madiaにて2週間の研修の予定だ。

ジュリアに紹介してもらいこのリストランテと繋がった訳だが
到着早々のシェフの印象は悪かった。

もちろん、研修をさせてもらう身なのだから何を言える訳でもないのだが
適当にあしらわれているというか、何というか。
仕方なく受け入れてやってるんだぞといった雰囲気。

と、いうのも後々シェフと話をしていて判明したことなのだが
僕に関しての情報が全くなく
どんな人間かも確かではない。
そして日本人だということすら知らなかったらしい。


これは差別や思い上がりなどではなく、
日本人は他の国のコックと比べても何処のキッチンでも重宝される。
器用で勤勉で真面目だから。
ジュリアからシェフにはシンガポールのレストランのシェフと伝わっていたらしく、
僕が他の日本人コックと日本語で話をしていて、ああ君は日本人か、なんてビックリされたくらい。
それもあってか態度も変わり、色々な話と今後の進路に関してもアドバイスをしてくれた。

日本人=仕事ができるという定説はイタリア、フランスでは
特にレストランのレベルが上がるほど常識になる。
これは、何百人、何千人という
この地を踏んだ先輩方のお陰であり
日本人という'ブランド'の名を汚さないためにも
僕たち後輩は一層頑張らなければならない、と常々思う。
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僕の経験からいって
海外に出るということは
自らの出身地の名誉(大きくいえばアジア、そして日本になり、日本人の多い環境であれば都道府県にすらなる)
を背負っているということであると思う。

だから、
留学、ホームステイ、勤労、旅行と
目的は何にしても海外を訪れるからには
日本人であるという自覚を持ってその時間を過ごすべきだと思う。

礼儀正しく、美しい文化と歴史を持ち、センスのよい日本人。

僕たちが自覚する以上に
外国の人たちはそう思っているのだから。

2011年10月29日
リカータより
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# by kentaro_torii | 2011-10-29 23:59 | イタリアより

シチリア時間

マルサラからアグリジェントへ。

ギリシャの文化が強く残り、
その遺跡が丘の上に建つシチリア南部のこの街では
以前タイのチェンマイで出逢ったシチリア人カップルのダヴィデとシモーナとの再会である。

2年半ほど前に一緒にチェンマイ発のツアーに参加し、
その後、ナイトバザールを冷やかしたりバーに飲みに行ったりして
年が近いこともあり、
また旅先という興奮も手伝ってか妙な連帯感が生まれ、仲良くなった。

以前、記したように
イタリア人以上にイタリア人らしくマイペースで自己中心的な二人はホームタウンにいるせいかそれに更に磨きがかかり
そしてシチリアの空気がそうさせるのか
会話の中のシチリア訛りも強烈になり僕には理解できない箇所もちらほら。
完全に彼らのペースである。


そして
朝10時に出発しようとなればそれは半時間後の10時30分であり
食後の10分の休憩は1時間の昼寝になる。
旅行中の僕にとってはあまり嬉しくはないシシリアン?ライフスタイルなのだが
シモーナの両親が持っているアパートに泊めてもらい、プランツォ、チェーナとシモーナの実家でご馳走になる僕は文句を言うはずもなく、
こんな時は
ああ、またかぁなんて、
笑ってどっしりと構えていればいいのだ。
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素材も調味料も何もなく
生魚も食べられないというシモーナ一家であるが、
そんな彼らの是非とも和食を食べてみたいリクエストに応え
僕は困惑しながらも
野菜の天ぷらと海老のかき揚げを作った。
これが大好評。
いや、彼らは僕が驚くほどに感動すらしていた。


考えてみれば
揚げ物が大好きなシチリア人+美味しい地野菜と新鮮な海老。
結果は一目瞭然である。
不味くなるはずもない。

なるほど、
料理って時には本当に簡単でシンプルなもので済む、
いや済ませるべきものなんだなぁと痛感。

料理を作る身として、きっと技術なんかよりももっともっと大切な事を
改めて思い知らされるだなんて。

ここアグリジェントでのシチリアンライフもなかなかのものだ。
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2011年10月28日
アグリジェントより
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# by kentaro_torii | 2011-10-28 16:06 | イタリアより