上品で可愛らしいアンドレアのマンマは料理が得意とのことで
料理教室を兼ねたプランツォを3度と
夜遊びにでかける僕たちの為に夜食まで用意してくれた。
初日のローマ料理フルコース~
前菜各種
ブカティーニ・アマトリチャーナ
プンタレッラのサラダ
仔牛のサルティンボッカ
ブルーベリーのクロスタータ
からはじまり
大好きだというシチリア風ピスタチオとアーモンドペストとドライトマトのパスタ
モッツァレッラを詰めたズッキーニの花のフリット
アンドレアの小さい頃からの大好物だという生地から作るパンツァロッティと
数々の手料理を披露してくれた。
仕込み~仕上げと調理は驚くほど手際よく
質問すれば丁寧に答えてくれ
手伝っていて楽しい。
そして
もちろん美味しい。
アンドレアの実家周辺は
ローマのチェントロからわずか15分という距離なのだが
仔羊の群れに遭遇することもあり
草と羊の匂いが鼻をかすめる。
羊乳でつくる硬質チーズ、ローマ原産のペコリーノ・ロマーノや
(ローマ料理の代名詞であるアマトリチャーナやカルボナーラに使用する)
ローマ料理によく使用されるアバッキオ(7kg以下の仔羊)の存在を肌で感じた。
こうして
積み重ねた経験や体験・味・思い出と
何をするにしてもベースとなる伝統料理と地方料理。
それを
自分の料理感とフィルターを通して作り上げる自然体の料理。
それが僕の目指す料理であって
そこに日本的な要素やタッチが加わるのは
フュージョンなどというものではなく
当然の結果なのだと思う。
だって、
生まれてから20年間暮らした日本。
いつも身近にあった
日本の四季、母親の手料理、日本料理の調理法、日本の食材。
それを抑えろといわれるのは無理がある。
むしろ
そこから自分というアイデンティティーを持った
オリジナルの料理が生まれるのではないかな。
誰もしたことのない驚きの組み合わせや
科学的な調理法などいらない。
新しい料理なんてそうそう作れるとは思っていない。
僕は料理に関しては自分自身の表現者でありたいと思っている。
だから料理、文化、歴史、社会的問題と、幅広い知識を持った人である必要があり
美味しい人でなければならない。
そしてレストランの空間と
お客様ひとりひとりの素敵な時間の為の
クリエーターでありたい。
と、ここまで綴っていて
昔、あるお世話になった方から頂いたお言葉を思い出し昔のメールを検索してみた。
よい料理人は皿の上が見事なばかりではなく、自分自身もおいしい人である。
人のおいしさには年齢は関係ない、自然の美しさと人のよき心を愛するものはおいしくなる。とは思わないですか。
おいしいものを沢山食べさせてくれて有難う。
またどこかで君の逸品の皿にお目にかかることを楽しみにしています。
サイパンを離れシンガポールに移る時期であったから
若干24歳であった僕に贈ってくれたメッセージであり
当時はきっと
その意味の半分も理解できていなかったのでしょう。
5年もかかりましたが
今、やっとその真意を掴みかけている自分がいます。
2011年10月21日
ローマより